非日常を浴びる
12月5日に開催された渋谷 TSUTAYA O-EASTでのライブから1ヶ月半。1月21日、渋谷クラブクアトロでeastern youthの2021年初のライブが行われた。本日(1月22日)とあわせて2日間連続のワンマンライブ開催で、これまで同会場で行っていた対バンイベント「極東最前線」の開催ペース(3-4ヶ月に1回)から考えると変則的だ。東名阪の3本しか行われなかった最新アルバム『2020』のリリース・ツアーの延長線的な位置づけだろうか。
再び発出された緊急事態宣言のため、20時までにライブが完了するように19時半の予定だった開演時間が18時に繰り上げされた。平日のため仕事の都合で参加をあきらめた人もいただろうが、この日のチケットはキャンセルに伴う追加発売分も完売した。
開演時間となり、しんとしたフロアに鳴っていたBGMが登場時のSEに切り替わり、メンバーが登場。極東最前線のときの吉野寿(Gt/Vo)といえば、猫背気味で黙々と歩きつつ、すごい気迫を漂わせて出てくることが多いが、この日の吉野は前回のライブと同様、フロアに指ハートを掲げながら登場した。おかげでマスク着用、全員着席で発声を控え、できるのは拍手だけという状況のフロアの空気も少しフックアップされるのだった。
演奏されたのは代表曲が並ぶなかに『2020』の収録曲が配置された、昨年のツアーと同じ方向性といえる曲目だった。しかし、前回と曲のかぶりがあまりなく、30年以上かけて積み重ねてきた歴代の代表曲のバリエーションの豊かさに感服する。昨年思うようにライブが観られなかった分、何回もライブで聴いた代表曲のはずなのに思いがけずレア曲を聴いたときのような、なつかしいような嬉しいような感覚と、『2020』の収録曲の新鮮な響きにハッとさせられた。緊急事態宣言下で単調な日々を過ごしがちななか、eastern youthの3人が発する、意志のみなぎった轟音を浴び、非日常の空間の貴重さを感じた。
吉野はMCで観客を笑わせながら、「こうやって意味のない話をずっとしていたいんですけど、ガイドラインでは8時にみんな出なきゃならないんです、ここから。いまスタッフ各位、おいおいおいおい、時計時計時計時計と思ってますよ。でも蓋が開いちまったら、こっちのもんなんです!」と言ったりして、フロアからは大きな拍手が起こっていた。実際、ライブ中に残りの曲数と残り時間を比べて、果たして20時に終わるのだろうか? と思ったりもしたが、アンコールを求める熱烈な拍手にもしっかり応えて、ギリギリながらもきっちり終わらせていたのはさすがだった。
本日(1月22日)も同会場でライブが行われる。チケットはソールドアウトしていたが、昨日のライブ後に追加席が急遽販売された。行けそうな方はチェックしてみてほしい。
<SET LIST>
01.今日も続いてゆく
02.サンセットマン
03.明日の墓場をなんで知ろ
04.浮き雲
05.青すぎる空
06.静寂が燃える
07.スローモーション
08.DON QUIJOTE
09.ソンゲントジユウ
10.矯正視力〇・六
11.ズッコケ問答
12.いずこへ
13.雨曝しなら濡れるがいいさ
14.合図を送る
15.存在
16.夜明けの歌
17.街の底
E1.たとえばぼくが死んだら
E2.荒野に針路を取れ
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