eastern youth | 沖縄 Music Lane Festival | 2021.2.20

また俺たち「必ず」、街の底で会おうぜ

沖縄県那覇市と沖縄市で同時開催中の音楽フェスティバル、Music Lane Festival Okinawa 2021にeastern youthが出演した。同フェスティバルはショーケースフェスティバルとして開催されていたSakurazaka ASYLUM、Music Lane Kozaと、国際音楽カンファレンスのTrans Asia Music Meetingの総称であり、eastern youthはSakurazaka ASYLUMに2016年2018年に出演している。フェス1日目となる2月20日、eastern youthは那覇市内の会場のひとつである桜坂セントラルのトリを飾った。

本来であれば1月16日、17日に開催される予定だったが、首都圏での緊急事態宣言の発出にともない、2月に延期された。ライブごとに総入れ替え制の会場では、入場の都度検温と手指の消毒を行い、着席で開演を待つ。開演直前、主催側から発声はNGだが周囲に配慮しながらであれば椅子から立って観てもよいとテープが流れたが、その直後にeastern youthのスタッフから、発声のみではなく立つのも控えるようにアナウンスがあった。

「(バンドが)東京から来て皆さん心配していると思うんですけど、我々も感染したくないし、感染させたくない。しっかりPCR検査を行なってきましたので、今日のライブがうまくいくように、皆さんご協力をお願いします」

出演時間の19時、メンバーがステージに登場。「お運びいただいてありがとうございます。我々eastern youthです。東京からやってまいりました」と吉野寿(Gt/Vo)が挨拶し、改めて「君は喋っちゃだめ、僕は喋ってよし。今日はそういう集いです」と観客へ発声を控えるように注意を促す。

屈指の代表曲”夏の日の午後”で演奏が幕を開けると、観客はその場で音圧を受け止める。”砂塵の彼方へ”、”故郷”が続き、冒頭からクライマックスのような流れで始まった。村岡ゆか(Ba)と田森篤哉(Dr)の打ち出すゆるぎないリズムと、吉野のギターが放つ研ぎ澄まされた爆音が均等に観客が配置された空間を震撼させ、観客は拍手で応える。

吉野は、毎回どれほど観客がいたとしても、観客とは五分で付き合っていると思ってやってきた。着席だとかえって一人ひとりがよく見えるため、それぞれの個性のようなものをより強く感じると語る。

「そのほうが俺は嬉しい。俺は消費されるのは嫌いだよ。消費者いらねえんだ。聴いてくれる人が必要だ。それだけ」

と語って鳴らされた”今日も続いてゆく”。そして感染対策について、「できるだけのことをやりますよ。でも、できるだけのことしかできねえんですよ。大きな犠牲をはらって、国際大運動大会みたいなのをやろうとしていますけど、水の泡ですよ。俺たちの我慢が」「それで我慢しても、結局自主的な気持ちで我慢してるだけであって、なにか首根っこを押さえつけられているわけじゃねえんだぞってことは忘れないでいたい。冗談じゃねえんだ。お触れ書き一本出されてさ、それでお前らいうこと聞けなんてさ」と、もどかしさと怒りを隠さずに始まった、”存在”。最新アルバム『2020』からの2曲が毅然と突き刺さってきたかと思うと、”夜明けの歌”が沁みてきて、濃密な流れに引きこまれる。

ラストの”街の底”の演奏前、吉野は「また俺たち必ず、街の底で会おうぜ」と再会を固く約束するように「必ず」に力を込めて語り、困難な状況に屈しないという気概をソリッドで気迫に満ちた演奏で示した。

アンコールを求める拍手に応えてメンバーが再登場し、村岡が観客に改めて感謝の言葉を述べた。村岡は自分のコーラス用のマイクを指し、「これはブッチャーズの吉村さんのマイクだそうで、見るたびにとても嬉しい気持ちで弾いています」と語る。長年PAを担当している今井朋美さんが用意したマイクだが、今井さんは「ようちゃん沖縄好きだから、連れてきてあげようと思って」と開演前、楽屋でメンバーへ話していたのだった。アンコールは”荒野に針路を取れ”。我慢を強いられる状況をステージ上だけでも吹き飛ばすような、痛快な響きで締めくくった。

過去にeastern youthが出演したSakurazaka ASYLUMを思い返すと、音楽と祝祭と開放感にあふれていたフェスの光景は一変し、今回は各自できるだけの感染対策をとりながら、慎重に開催されていた。会場近くのかつては観光客で一日中賑わっていた国際通りも、今は休業中の店舗の方がはるかに多く、閑散としている。厳しい状況下であることを痛感したが、今まで繋いできた灯火を絶やさないために、観客もバンドもフェス主催者側も、それぞれの信念でこの場を守っているように感じられた。ライブ中盤から、フロアに用意されていた席はほぼ満席となった。この場に集った「聴いてくれる人」とバンドが対峙した40分。短いが、切実でかけがえなく、心と記憶に深く刻まれる時間となった。

フェスティバル2日目となる本日(2月21日)、eastern youthは16時30分から沖縄市コザの会場のひとつである、ミュージックタウン音市場に出演する。本日のライブはオンライン配信が予定されている。配信の詳細はフェスティバルの公式サイト( https://musiclaneokinawa.com/mlf2021 )で確認することができる。

<SET LIST>
01.夏の日の午後
02.砂塵の彼方へ
03.故郷
04.今日も続いてゆく
05.存在
06.夜明けの歌
07.街の底

E1.荒野に針路を取れ

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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa