eastern youthの全国ツアー『極東最前線/巡業 ~石の上にも三十年~』、4本目。1988年にeastern youthが結成された街であり、2015年には前任のベーシスト、二宮友和のラストライブの地となった街、札幌。昨年のツアー以来の、札幌キューブガーデンでのライブだった。雨模様のなか、フロアは満遍なく埋まっていた。
やはり今回のツアーのセットリストは、結成30周年仕様と呼ぶべきスペシャルなものだ。次々に演奏される代表曲に、eastern youthをこの地で観続けてきた観客が、歓声で、歌声で応える。次はどんな曲が演奏されるのか、吉野寿(Gt/Vo)が何を語るのか。曲数を追うごとに、観客は固唾を飲んでステージを見つめる。ライブが後半に差し掛かった頃。そうやって完全に静まったフロアに、吉野が語りかける。
「忘れてたよ。札幌ってこういう街だったよね。何ちゅうんだろうね。おいで(口笛)、ほねっこ、ほらほら。(と犬を呼ぶが、呼ばれた犬の渋る表情をしてみせる吉野)行きてえんだけど、行かない。ちゅーるだよ、いなばのちゅーるだよ。(同じく猫の渋る表情をしてみせる吉野。観客笑)行きてえんだけど、行かない。んだった。んだったよ。いい。クール。何でかっていうと俺もそうだから。まあ考えてみたら札幌には6年間しかいなかったよね。帯広16年、札幌6年、東京27、8年いるからね。だからもう、ここの者じゃねぇんだ」
「だけど子どもの頃に育った環境っていうのは、ずーっと根っこの方に残るんだなっていうのはこの歳になって痛感していますよ。6年しかいなかった街でも、気持ちの大事な部分にずっと残っていますよ。だから何回帰って来ても懐かしいですよ、札幌。大していなかったのにな」
「失敗ばっかりの街でした」と続けて、札幌で過ごした若い頃、アルバイトを3時間でバックレたエピソードを語り、観客の笑いを誘う。
いつも熱く、あたたかく迎えられる、eastern youthにとって特別な街。札幌の観客にとっても、eastern youthは特別なバンドだ。11月14日(水)には新しいシングル『時計台の鐘』が発売される。「故郷」や「テレビ塔」が札幌で演奏されると一層深く響くのと同じように、「時計台の鐘」も札幌の観客に特別な想いとともに共有されていくに違いない。
【eastern youth 極東最前線/巡業 ~石の上にも三十年~】
9/23(日)千葉 LOOK
9/29(土)京都・磔磔
9/30(日)金沢 GOLD CREEK
10/6(土)札幌 cube garden
10/27(土)仙台 CLUB JUNK BOX
10/28(日)盛岡 the five morioka
11/3(土)新潟 CLUB RIVERST
11/4(日)長野 LIVE HOUSE J
11/10(土)福岡 DRUM Be-1
11/23(金・祝)広島 4.14
11/24(土)岡山 ペパーランド
12/1(土)大阪・梅田CLUB QUATTRO
12/2(日)名古屋 CLUB QUATTRO
12/8(土)渋谷 TSUTAYA O-EAST
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